セミナー・研修

【概要版】小児インフルエンザワクチン WEBセミナー

6月19日(木)に実施したWEBセミナーの概要版です。動画を見ることが難しい方でも短時間でご覧いただける内容となっておりますので、ぜひご覧ください!

【概要】小児インフルエンザワクチンの重要性と新たな選択肢

こちらの概要版は、動画を見る時間や環境にない方向けに作成しております。必要に応じてページ下部にありますPDFを印刷し、課内でもご回覧ください。また、より詳しくお知りになりたい方は動画のご視聴をおすすめいたします。
動画URL:https://youtu.be/7usP0TesJkA

はじめに
令和7年6月19日(木)に「小児インフルエンザワクチンの重要性と新たな選択肢」Webセミナーが自治体職員向けに開催され、専門医である鹿児島大学名誉教授の西順一郎先生が講演を行いました。本セミナーでは、インフルエンザの現状その対策、また、弊社ブリッジが行った自治体アンケートについても解説していただきました。

小児インフルエンザの現状と深刻さ
2023-2024シーズンでは、インフルエンザの推計受診者数が過去最大級の1800万人に達し、そのうち15歳未満の小児が63.0%を占めるなど、流行の中心が小児へとシフトしています。小児の入院患者数も増加しており、特に2022-2023シーズンは高齢者よりも小児の入院が多かったと報告されています。これはコロナ禍における免疫低下の影響と見られ、今後も大規模な流行が懸念されます。

インフルエンザは小児の生命を脅かすこともあり、毎年10数人から60人程度の死亡例が確認されています。インフルエンザは、近年、小児の主要な死亡原因の第4位または第5位に挙げられています。

また、最も重篤な合併症はインフルエンザ脳症です。これはウイルスが脳に直接侵入するのではなく、炎症によって脳が腫れることで痙攣や意識障害を引き起こす病態で、発熱当日に発症することが多く、抗インフルエンザ薬の投与が間に合わないことがほとんどです。インフルエンザ脳症の致命率は
6%、後遺症が残る割合は21%と高く、ワクチンによる発症予防が極めて重要とされています。

インフルエンザワクチンの選択肢、有効性、安全性
日本で利用可能なインフルエンザワクチンは主に2種類あります。

 • 不活化
HAワクチン従来の注射型で、6ヶ月以上が対象です。6ヶ月から13歳未満は2回、
   13歳以上は12回皮下注射で接種します。
 • 経鼻弱毒生ワクチン: 2024年秋から導入された新たな選択肢で、2歳から19歳未満が対象
   です。
鼻腔内に噴霧するため注射の痛みがなく、小児の負担が少ないのが特長です。
    弱毒化したウイルス株を使用するため、接種後
12週間はウイルスが排出される可能性が
    ありますが、実際の感染伝播は稀です。ただし重度の免疫不全者との接触は避けるべきと
    されます。また、接種直後の発熱時もインフルエンザ検査は陽性となるため、検査や
    抗インフルエンザ薬の処方は不要です。

ワクチンの有効率は、「接種しない場合に比べて発症率がどれだけ減少するか」を示します。例えば「有効率
70%」とは、発症率が70%減少する意味であり、40%程度の有効率でも発症リスクを確実に低減します。

 
• 不活化HAワクチンの小児における発症予防効果は、2回接種で4060%台と確認されています。
     2023-2024シーズンでは、6ヶ月~15歳でA型に54%B型に56%の有効率が報告されました。
  • 経鼻弱毒生ワクチンも高い有効性を示しており、国内臨床試験で28.8%(全体)、英国研究では
     68%(全株)の発症予防効果が報告されています。英国では入院予防効果も50.1%と示されて
     います。安全性について、経鼻生ワクチンで最も多い副反応は鼻汁ですが、軽度で自然に治まる
     ものがほとんどです。

日本小児科学会は、不活化と経鼻弱毒生ワクチンの効果は同等であると見解を示し、
2歳から19歳未満の小児にはどちらも推奨しています。ただし、喘息患者や乳幼児、免疫不全者との密接な接触がある場合は不活化ワクチンが推奨されます。

小児インフルエンザワクチン助成の現状
ブリッジが実施した自治体アンケートによると、2024年度の状況は、回答いただいた自治体のうち47.0%が小児インフルエンザワクチン助成を実施していました。助成を行った自治体のうち、70.0%が経鼻生ワクチンも助成対象でした。助成対象年齢や助成金額などについても触れられていました。

まとめ
小児におけるインフルエンザの疾病負担は高く、死亡例や重篤な合併症も引き起こすことからワクチンによる予防が重要です。また、有効で安全なワクチンの選択肢が広がっている現状を踏まえ、子育て支援策として公的助成が望まれます。

※この記事のPDF版を「添付ファイル」からダウンロードできますので、印刷や回覧にご利用ください。

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